1D4DD

1D4DD(= A Desk for Discourse Dynamics)は、津久井五月(作家)と津久井悠太(ディレクター)という2つの人格を内包するソロユニットです。

正しくも息苦しいおおやけの議論に、誰かの本音をうまく紛れ込ませることで、さまざまな場所での社会的な語りをもう少し柔らかく、しなやかなものにする。

それで世の中がどう良くなるというのか、まだきちんと説明はできませんが、そういうことを目指して小説やその他のコンテンツの企画・制作に携わっています。

津久井 五月 TSUKUI Itsuki 作家。1992年生まれ。2017年、長篇小説『コルヌトピア』でハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。公益財団法人クマ財団の支援クリエイター1期生。21年、「Forbes 30 Under 30」(日本版)選出。テクノロジーによる人間や社会の変容に関心を持って小説を執筆している。日本SF作家クラブ会員。

津久井 悠太 TSUKUI Yuta ディレクター。1992年生まれ。東京大学・同大学院で建築学を専攻。卒業論文で伊東忠太賞。2017年、短篇小説「天使と重力」で日経「星新一賞」学生部門準グランプリ。18年から経済誌『日経ビジネス』の編集記者として小売業界を中心に取材・執筆し、20年に独立。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。

小説や映像作品シナリオ等の企画・執筆

現実のすぐ隣にあるようなリアリティと感情の力を持つフィクションを目指し、さまざまなテクノロジーを題材にしたSFやノワール、ミステリを手掛けています。

企業や研究機関等のビジョン策定支援

テクノロジーへの期待や危機感に駆られた空疎な未来像ではなく、そこが自分たちの生きる場所であると感じられるような社会の姿を見出すお手伝いをします。

オウンドメディア等のディレクション

短期的なインプレッションを稼ぐのは苦手ですが、技術や事業が社会に与える影響について深く探索し、その問いを社会と共有するようなメディアを構想できます。

contact: tsukui@1d4dd.com

主な商業発表作品(津久井五月名義)

長篇・中篇小説

  • 『コルヌトピア』(ハヤカワ文庫JA)※第5回ハヤカワSFコンテスト大賞
  • 「カササギを絞め殺す」/ 雑誌『SFマガジン』2025年8月号

短篇小説

  • 地下に吹く風、屋上の土」/雑誌『WIRED』VOL.37
  • 「粘膜の接触について」/『ポストコロナのSF』(ハヤカワ文庫JA)
  • 「肉芽の子」/『ギフト 異形コレクションLIII』(光文社文庫)
  • 「炎上都市」/雑誌『SFマガジン』2022年12月号
  • 「友愛決定境界」/『AIとSF』(ハヤカワ文庫JA)
  • 「観闇客のまなざし」/『ヴァケーション 異形コレクションLV』(光文社文庫)
  • 「クレオータ 時間軸上に拡張された保存則」/『地球へのSF』(ハヤカワ文庫JA)
  • 「生前葬と予言獣」/『AIとSF2』(ハヤカワ文庫JA)

ノンフィクション

全作品リスト

主なクライアントワーク(津久井五月または津久井悠太名義)

ソニーグループ 「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」 WIRED Sci-Fi プロトタイピング研究所と協働

→2021年8月「オッド・ロマンス」(コンセプト, 小説)

NTT人間情報研究所 「人とデジタルツインの未来 “わたしの拡張”」 WIRED Sci-Fi プロトタイピング研究所と協働

→2023年2月「未完成感性社会」(コンセプト, 小説)

Synflux 「WORTH Diegetic Collection」

→2023年8月「撤退線」(コンセプト, 各種テキスト)

With-Drawing - 撤退線 | WORTH - Synflux

モリの奥にはケモノが棲んでいる。ケモノはヒトに化け、私たちの前に現れる。都市をぐるりと囲い込み、私たちに生存の糧を──水を、食べ物を、あらゆる素材と燃料を──もたらし続ける旧世界の機械遺産、すなわち“市壁”。ヒトの世界とモリを隔て、モリから資源を自動回収するその高く分厚い壁は、古くから“撤退線”とも呼ばれている。市壁の中枢をなす管理端末の奥には薄暗い電脳空間が広がっているが、その空間の使い途を知っている者は、この都市には誰もいない。ケモノの化身──アヴァターラは、その電脳空間に出没するのだ。ケモノたちはヒトのかたちに化けて、幻影か、亡霊のように、現れては消える。謎めいた装束を振り乱して踊り、その袖や裾から、四つ脚の動物にも似た異形の手足を覗かせる。私たちの身体と文化の範疇からわずかに逸脱したその姿を目の当たりにするとき、誰もが静かな不安に苛まれる。ケモノとは文字通り、“毛”を身に纏った存在だ。モリの奥に潜むその真の姿は、ヒトとは懸け離れている。モリ自体がそうであるように、私たちを怯えさせ、私たちの理解を拒む。しかし、毛は糸に通じ、糸は布に通じ、布は服に通じる。つまり“ケモノ”は“キモノ”に通じる。ケモノもヒトと同じく、服を着た存在であるといえなくもないのだ。そんな危うい概念のつながりが、彼らと私たちをかろうじて結びつけ、ケモノがヒトに化けることを可能にしているのではないだろうか。市壁の電脳空間に現れる、不思議な装束に身を包んだアヴァターラ。それはケモノがヒトに接近するために作り上げた姿であり、ヒトがケモノをそう理解したいと願う姿なのだ。モリの霊性を体現する宗教者のような「レイシ」。モリと市壁の隠された仕組みを紐解く「ドウシ」。モリからヒトに向けられた使者である「バイシ」。さまざまに様態を変えるアヴァターラは広く深いモリの力を身に纏い、その世界から“撤退”して久しい私たちの目の前で、妖しく踊ってみせる。

With-Drawing - 撤退線 | WORTH - Synflux